皆さんこんにちは!ロサンゼルス在住のNamiです。本日はアメリカで2024年に公開された映画『A Complete Unknown』のレビューをしたいと思います!
アカデミー賞®ノミネート監督であり、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』、『フォードvsフェラーリ』の名匠ジェームズ・マンゴールドが、主演にティモシー・シャラメを迎えて世界に送り出す最新作『A Complete Unknown(原題)』。この度、邦題を『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』とし、2025年2月28日(金)に日本公開することが決定しました!
本作は、フォーク界の伝説であり、数々の変化を遂げてきた音楽アイコン、ボブ・ディランの若き日々を描く伝記映画です。ジェームズ・マンゴールド監督がメガホンを取り、主演にはティモシー・シャラメが抜擢されました。
ボブ・ディラン役のティモシー・シャラメのほか、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルックらが共演✨第97回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門でノミネートされています✨
この記事では映画の魅力、テーマ、演技、音楽、そして個人的な感想を交えながらレビューしていきます🎞️
作品概要
この作品は、ボブ・ディランがニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで活動を始めた初期のキャリアを中心に描きます。特にフォークミュージック界の新星として注目される中での苦悩や、音楽的な転機に焦点を当てています。
タイトル:A Complete Unknown(現代)
公開年:2024年
監督:ジェームズ・マンゴールド
主演:ティモシー・シャラメ(Bob Dylan役)、エル・ファニング、モニカ・バルバロ
ジャンル:音楽伝記映画
あらすじ
1960年代初頭、後世に大きな影響を与えたニューヨークの音楽シーンを舞台に、19歳だったミネソタ出身の一人の無名ミュージシャン、ボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)が、フォーク・シンガーとしてコンサートホールやチャートの寵児となり、彼の歌と神秘性が世界的なセンセーションを巻き起こしつつ、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでの画期的なエレクトリック・ロックンロール・パフォーマンスで頂点を極めるまでを描く。
映画のテーマとメッセージ
本作のテーマは、ボブ・ディランが象徴する「変化と自己再定義」です。ディランはキャリアを通して常に自分を変化させ、フォークからエレクトリックへの転向など、音楽的にもイメージ的にも多くの挑戦をしてきました。
『A Complete Unknown』は、若きディランが自身のアイデンティティを模索しながら、名声と向き合う姿を描いています。名声を得ることの喜びと重圧、そして変化を恐れずに前進する勇気が、観客の心を掴みます。映画は決してディランの人生全体を網羅するのではなく、特定の時期に焦点を絞ることで、より深い内面描写が可能になっています。
注目ポイント
演技とキャスティング
ティモシー・シャラメの挑戦
ティモシー・シャラメは、ボブ・ディランという実在の人物を演じるという難しい役柄に挑戦しました。これまでも『Call Me By Your Name』や『Lady Bird』で難しい役柄を演じてきたシャラメですが、今作ではディラン特有の物静かでミステリアスな雰囲気や彼のアクセント見事に再現していました。さすがティモシー・シャラメという感じでしたね。
また、特筆すべきは彼の歌唱シーンです。シャラメは吹き替えを使わずにディランの楽曲を歌い、声のトーンや歌い方を忠実に再現しています。ディランの独特な発声法を再現しながらも、シャラメの個性も生きているパフォーマンスは圧巻でした。
2月8日に日本で行われた“SPECIAL RED CARPET EVENT in TOKYO”でシャラメは「ボブ・ディランは自分にとっても大きな存在である素晴らしいアーティスト。日本にもたくさんファンがいることを知っています」とコメント。そして「この作品を観ていただけたら彼の音楽のインパクトを感じてもらえると思う」と太鼓判を押したそう。

さらにシャラメは「普段アートの解釈は見た方に任せようと考えているけど、この作品には独特のスピリットがああるから、時間を取ってでも観てもらう価値がある。この作品に関わることは、自分にとってのミッションだった」と回想。
他キャストの存在感
エル・ファニングが演じるのは、ディランの音楽活動に影響を与える重要な女性キャラクターです。彼女は架空の人物ながら、ディランの創作意欲を刺激し、音楽的な視野を広げる存在として描かれています。おそらく、複数の実在人物をモデルに統合したキャラクターなのかなと思います。彼女との会話や関係性は、ディランの心の内面を浮き彫りにし、ストーリーに感情的な奥行きを与えています。エル・ファニングの繊細な演技は、彼女の内に秘めた情熱と孤独を巧みに表現し、観客を魅了します。
一方、モニカ・バルバロはディランの公私にわたるパートナーとして登場し、より現実的で地に足のついた存在感を醸し出しています。彼女はディランの変化に対する戸惑いや葛藤を代弁する役割を担っており、物語にリアリティをもたらす重要なキャラクターだと思います。彼女がディランに問いかけるシーンは、単なる音楽映画を超え、人生の選択や人間関係についても深く考えさせられる瞬間となっています。ちなみに、モニカは今年のアカデミー賞で助演女優賞にノミネートされています。
演出と映像美
ジェームズ・マンゴールド監督は、過去にも『Walk the Line』でジョニー・キャッシュの人生を描き、高く評価されました。今作でも彼の演出力が光ります。
映像は60年代のニューヨークをリアルに再現し、グリニッジ・ヴィレッジの空気感を見事に捉えています。暗めのライティングとレトロな色彩が時代の雰囲気を醸し出しており、まるで自分たちがその時代にいるかのように感じさせてくれます。また、ライブシーンのカメラワークは臨場感たっぷりで、ディランのカリスマ性がスクリーンを通じて伝わってきます。それと同時に、シルヴィ(エル・ファニング)のどこか寂しそうな表情も上手く捉えており、ディランの成功と対照的な印象が物語に深みを与えていると感じました。
音楽とサウンドデザイン
映画のもう一つの主役は、もちろんボブ・ディランの音楽です。本作では「Blowin’ in the Wind」「The Times They Are A-Changin’」など、ディランの代表曲が効果的に使用されています。歌詞がストーリーとシンクロする場面も多く、音楽ファンにとってはたまらない演出なのではないでしょうか。
さらに、既存の楽曲だけでなく、オリジナルのアレンジが加えられている場面もあり、ディランの音楽を新たな視点で楽しむことができるんだとか。ボブファンの方も彼の音楽を違う形で楽しむことができそうですね。
サウンドデザインも非常に緻密で、ライブハウスの音響や街の喧騒がリアルに再現されているのが印象的でした。
個人的な感想
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』は、音楽ファンのみならず、多くの人にとって「自分とは何か」を問いかける作品だったように思います。自分の中で起こる変化や周囲の人の変化、キャリアや人生が進んでいく中で、自分の進む道に迷うことがあると思います。そんな時に見てほしい作品です。
個人的にはティモシー・シャラメがディランを演じると知った時はどんな風に再現していくんだろうと思っていましたが、見終わった後には彼以外の選択肢はなかったと思わせるほど、ハマり役だったと感じました。特に、ディランがギターを片手に自分の思いを歌うシーンは感動的で、シャラメの真摯な姿勢が伝わってきました。
また、ディランの音楽をあまり知らなかった人でも十分楽しめる構成になっていると思います。私自身、彼の音楽は全く聞いたことがありませんでしたが、1人のミュージシャンの人生をこういった形で知ることができて、とても良い経験になったと思いました。
総評
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』は、伝説的な音楽家ボブ・ディランの初期キャリアを鮮やかに描いた映画です。音楽、映像、演技が三位一体となり、観客を1960年代のニューヨークに引き込みます。
おすすめ度:★★★★☆(4/5)
音楽好きや60年代カルチャーファンにはぜひ観てほしい作品です。ティモシー・シャラメの新たな一面を堪能しつつ、ボブ・ディランというアーティストの偉大さを再確認することができるでしょう。