色に注目するとより感情が湧き立つ『ラ・ラ・ランド』

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皆さんこんにちは!ロサンゼルス在住のNamiです。

本日は久しぶりに見た映画『ラ・ラ・ランド』についてお話ししようと思います。2017年に公開されたときにも見ましたが、大人になって改めて見ると、よりその素晴らしさが身に染みました。

概要

『ラ・ラ・ランド』は、デイミアン・チャゼル監督による2016年アメリカ公開のミュージカル映画であり、夢を追いかけるジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と女優を目指すミア(エマ・ストーン)の恋愛と成長を描く作品です。華やかな音楽とダンス、そして鮮やかな映像美が特徴的でありながら、現実の厳しさと夢を追うことの代償を巧みに描いています。

あらすじ
オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。

注目ポイント

劇中の色の意味

この作品を見たとき、そのカラフルさに驚いた方も多いのではないでしょうか。最近の映画は比較的落ち着いたトーンのものが多く、有名なフランチャイズ映画でも昔は鮮やかな色使いが目立っていたのに最新作ではダークなトーンやブラウン系の色味でまとめられていることが多いです。そういった中で赤や黄色、青といったヴィヴィットカラーがふんだんに使われた本作はまるで50年代、60年代に戻ったかのようんな色使いで私たちを楽しませてくれました。

ですが、ただただカラフルにしただけではありません。みなさんは、劇中の色が持つ意味を知っていますか?そのシーンごとに、実は決まったカラーがバックで使用されていたり、衣装に使われていたりするんです。その意味を考えながらこの映画を見るとよりそのシーンが意味するものや、キャラクターの感情が伝わってきて、感情移入してしまいます。

緑:関係性の変化
恋愛において関係性が変化する瞬間に緑が使用されています。緑が使用されていると、何か変化が起こる前兆と言えます。
例えば、ミアが1ヶ月ほどデートしていた相手と食事に行くとき、ミアは緑色のドレスを着ています。ここは、ミアが彼との別れを決めセスのもとに走り出す重要なシーンです。また、セスとミアがお互いを少しずつ知るシーンでは、カフェの外観が緑、2人が最も良い関係性を見せるときはバックのカーテンが緑、そして初めて喧嘩をした時も同様にカーテンが緑です。
そして喧嘩をした後からは、緑は「別れ」「離れている」ことの象徴として見ることができます。例えば、セスが自分のバンドの仕事でミアの公演に行けない時はスタジオの背景に緑が、セスのツアー中にミアが1人で家にいる時は赤とペアで使われています。

青:現実
青はミアとセスが現実の厳しさに直面している時の色として使用されています。
セスのアパートに姉が訪ねてきてジャズピアニストとしての仕事が順調なのかと問いただす場面では姉はブルーのTシャツを着ています。ミアが鏡の前で自分の将来について歌う場面ではミアは青のドレスを着ており赤色の照明とペアの色使いがされています。赤色はこの後説明しますが、「夢」を表しています。このシーンは夢と現実の間でもがくミアの心情を表していると言えます。ミアがオーディンションで落ちる時も青のジャケットを着ています。2人が別れ話をする時もミアはブルーのセーターを着ています。
そして私がすごく好きなのは、最後のシーンでブルーが使われていることです。セスのジャズバーの看板の色が青。これは、ずっとおい続けていた夢(赤)が現実(青)になったことを示していると思います。そして2人が最後に目を合わせるシーンでも青の照明が使用されています。これは、お互いの夢が叶った、でも2人は一緒にいることができなかったという現実を最後に表していると思います。なぜなら、このシーンの前に8分間もし2人が一緒にいれたならと想像するシーンがあるからです。いつもお互いを思い合っていても、夢を追う過程で別れてしまった2人の切ない最後が表されています。

赤:追い続ける/届かない夢、欲望
前述でもお伝えした、ミアとセスの夢が詰まっているシーンや、叶わない夢を追いかけているシーンで使用されるのが赤です。ミアがパーティの後聞こえてくる音楽につられてフラッと立ち寄るバーの明かりが赤だったり、オーディションで夢を追いかけるミアは赤のジャケットを着ているのに部屋には青のものが溢れており、現実はそう甘くないことを示しています。

紫:2人の関係性で重要なシーン
2人の恋愛模様を描くときには必ず使用されているのが、紫です。まず、2人の関係が良好で、とてもロマンチックな時間を共有している時の色として使用されています。2人が初めてダンスを踊っているシーンで空の色は紫です。デート中にミアが来ているドレスは紫で、また別のデートの時は外にあるゴミ箱が全て紫です。一方で、セスがミアの演劇に間に合わなかったとき、劇場前の照明は紫になっています。これはおそらく、2人の最も良かった時との対比となっていると思います。

黄色:変化
黄色は、人や物事を通して変化が訪れるときに使用されています。ミアがパーティに参加したときに来ているのは黄色のドレスです。これは初めてセスに会い、当時デートしていたセバスチャンからセスとの恋愛に変わっていくことを示します。また、バーでキース(セスの高校時代に友人)が自分のバンドにセスを誘うシーンで来ているのも黄色のセーター。これは、セスのキャリアの変化を示しています。

音楽が止まるとき

ミュージカル映画ということで、音楽も非常に重要です。キャッチーなものも多いですし、ずっと口ずさみたくなるような音楽を多いですよね。中でも注目したいのは、音楽が完全にストップしたシーンについてです。

これは、2人が初めて口論をするシーンで、バンドのツアーで忙しい中、セスが手料理を作ってミアを待っているシーンです。ミアはセスのサプライズに大喜びで、2人は食事を楽しみますが、セスがミアに「一緒にツアーに来てほしい」と言ってしまった瞬間から口論が始まります。そもそもセスがバンドに入ったのは、ミアが母親と電話で話しているのを聞き、定職について安心させたいと思ったからです。忙しくて会えない時間が多くなってしまったからこそ、一緒にいたいといいう気持ちで先走ってしまったセスですが、ミアは彼がジャズバーを開く資金集めのために、一時的にバンド活動をしていると信じていたため、今後もバンドを長期的に続ける気があるという彼に怒ります。もちろん、会えない時間がこれ以上長く続くのは嫌だったという思いもあったと思いますが、お互い夢を持ってLAにいる身として、「ジャズバーを開く」という彼の本当の夢を知っていたからミアは怒ったんです。夢をあきらめてほしくなかったんですよね。

喧嘩をしている間、ミアはセスから視線をそらす事なく話します。それは、ミアは自分が言っていることが正しいこと、目標から目を背ける時ではないとわかっているからです。それに対しセスの視線はミアと目を合わせられない状況。それは、彼が彼女の言っていることが正しいと分かっていて、後ろめたさを感じていたり、自分の夢と向き合えていなかったことを痛感しているからです。

そしてこの状況に耐えきれなくなったセスがミアの夢を冒涜するような一言を言ってしまい、全ての音がストップします。2人の間に流れていたハーモニーがプツンと音を立てて消えたかのようでした。2人の時間が止まり、関係性が変わり、それぞれの人生が変わる瞬間。この後から2人はそれぞれ別の道を歩んでいくことになります。
ミュージカル映画だからこそ、音楽がある時間はもちろん、全くない時間もすごく大事なんですよね。

結ばれなかった2人が夢見た世界

ここで泣いたという方は多いのではないでしょうか。映画の最後、ミアは女優として有名になり、結婚して子供がいます。旦那とデートに出かける際、渋滞から逃れるためにたまたま立ち寄ったのがセスのお店でした。5年ぶりに再会を果たした2人。言葉を交わす時間はありませんでしたが、セスはミアを見て2人の思い出の曲を演奏します。その瞬間、「もし2人の関係があのまま続いていたら」、「あの時こうしていたら」という想いが詰まった映像が流れます。それは、2人がお互いの夢を叶え、結婚し、子供が産まれ幸せに暮らしている。現実で起こらなかった「2人のその後」を表しています。

この映画がここまで評価され、何度も見たくなる映画になっているのは、夢を追いかけてLAに来た2人が夢をかなえ最終的には別々の道を歩んだという単純なストーリーではなく、夢を叶える過程である葛藤や不安、夢を叶えるために犠牲にしたものをうまく表現しているからだと思います。愛し合っていた2人はこの2人の関係を犠牲に夢を叶えました。そしてこれは、誰しもが経験したことのあることではないでしょうか。この2人と完全に一致していなくても、仕事に集中したい、自分の夢を叶えたい、だから今この関係を続けていくのは難しい、と愛し合っていても別れを選んだ人もいると思います。

このシーンは、自分の大切な瞬間や心地よい瞬間にはいつもその「人」がいたことを思い起こさせてくれます。キャリアも恋愛も、人生において大切なのは「場所」ではなかったりもするんですよね。自分が自分らしくあれる場所、自分をもっと良い自分にしてくれる場所、それはいつだって「人」なんです。だからこそ、このミアとセスが抱える「なんでああしなかったんだろう」というこのシーンは私たちにも身に覚えがある瞬間だったりするんだと思います。

色の意味を理解した今、もう一度この映画を見てみませんか?そして皆さんは見終わった後誰を思い浮かべるでしょうか?

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