皆さんこんにちは!ロサンゼルス在住のNamiです。
アメリカでは、ついにに『ライオン・キング:ムファサ』がDisney+で配信を開始しました!映画館では見れませんでしたが、早速Disney+で見てみたので、レビューしていきたいと思います!
概要
ディズニーが世界に誇る名作『ライオン・キング』。そのスピンオフかつ前日譚にあたる作品『ライオン・キング:ムファサ』は、シンバの父・ムファサの知られざる過去を描いた一作です。本作では、ムファサがどのようにして“偉大なる王”となったのか、そして兄・スカーとの複雑な関係性がどのように形成されたのかが、壮大な映像美と共に紐解かれていきます。
前作同様、リアルな動物描写と最新VFXを駆使した“実写風アニメーション”が特徴で、観る者をプライド・ランドの世界に引き込みます。監督は『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが務め、深みのあるストーリーテリングにも期待が集まりました。
あらすじ
息子シンバを命がけで守ったムファサ王。かつて孤児だったムファサの運命を変えたのは、後に彼の命を奪うスカーとの出会いだった。両親を亡くしひとりさまよっていた幼き日のムファサは、王家の血を引く思いやりに満ちたライオン、タカ(後のスカー)に救われる。血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれたムファサとタカは、冷酷な敵ライオンから群れを守るため、新天地を目指してアフリカ横断の旅に出る。
注目ポイント ※ネタバレあり
1. 若きムファサとスカーの兄弟ドラマ
『ライオン・キング』には、まだ語られていない謎がありますよね。それは、シンバの父であるムファサと、その弟スカーの過去と因縁です。この兄弟の物語を見ることで、『ライオン・キング』が完成するといっても過言ではありません。どういった経緯で2人がスカーがなぜあれほどの嫉妬と怒りを抱えるようになったのか、その背景にある心の闇が丁寧に描かれ、単なる悪役ではない“人間味”を持ったキャラクターとして描写されています。
2人が初めて出会ったのは、ムファサが両親と逸れて1人になってしまった時です。この時、ムファサが助かったのは実はスカー(本作ではタカという名前)のおかげでした。スカーは王家の息子として生まれ、王となる運命を背負った少年だったんです。その後、2人は兄弟のように育つのですが、実の兄弟ではなかったんですね。しかも、子供の頃から性格が歪んでいたのではなく、どこにでもいる、かわいい子供だったということです。
しかし、スカーには王となるために必要な「勇気」がかけていました。自分の家族が危機に陥った時に助けたのはムファサ。その後、スカーの父親は王家の血を絶やさないためにスカーに逃げるよう言い放ち、ムファサに共を任せます。その逃げる過程で出会ったのが、後にムファサの妻となるサラビでした。スカーはサラビに恋をしますが、結末は皆さんもご存知の通り。これがきっかけにムファサに裏切られたと感じたタカのスカーになる運命がグッと引き寄せられてしまうんです。。。
また、注目したいポイントとして、『ライオン・キング』で断崖絶壁を登るムファサをスカーが見放す場面は印象に残っている人も多いと思いますが、同じようなシーンが本作でも出てきます。そういった場面でのスカーの心情の変化が繊細に描かれており、スカーがあのようになってしまったのかが明らかになるのです。
2. 圧倒的なビジュアルと音楽
映像は言わずもがな圧巻の一言。サバンナの風景や動物たちの質感、空気感までがリアルに再現されており、まるでドキュメンタリーを見ているかのような没入感があります。
また、音楽も大きな魅力のひとつ。前作に引き続きハンス・ジマーが音楽監修に関わっており、壮大で感情を揺さぶるスコアが映像と見事にマッチしています。加えて、ビヨンセやファレル・ウィリアムスなど豪華アーティストの楽曲も新たに加わり、物語に彩りを添えています。
イマイチだったポイント ※ネタバレあり
1. ストーリー展開の既視感
本作は前日譚であるため、どうしても『ライオン・キング』という本編の存在を前提とした展開になりがちです。すでに結末を知っている観客にとっては、物語の驚きや緊張感が薄く、「ああ、やっぱりこうなるのか」と予想がついてしまう部分があるのは否めません。しかも、ムファサが両親とはぐれてスカーに助けられるシーンは『ライオン・キング』でシンバがムンバたちに助けられるシーンに似ていますし、サラビがムファサとスカーと出会うシーンはシンバとナラが出会うシーンに似ています。悪者がいて、最終的には主人公がその悪者を倒す、という状況が違えどストーリー展開が似ていて、ワクワク感や緊張感がそれほどなかったように思います。
ですが、本作を先に見て、その後1作目を見ると、ストーリーが綺麗につながるかもしれません。
2. タカがスカーになる過程が強引?
物語が進むにつれて、少しずつタカのムファサに対する劣等感が強くなっていくのが感じられ、それが頂点に達したのが、ムファサとサラビが恋仲になった瞬間です。元々タカの恋を応援していたムファサがサラビを恋仲になった瞬間を偶然タカが目撃し、ムファサに裏切られたと感じます。
このシーンがなくても、いつかは劣等感に苛まれてムファサを裏切っていた可能性はありますが、恋敵になってしまったことが裏切りのきっかけというのがちょっと安易すぎるのではないかと思ってしまいました。確かに、『ライオン・キング』でもスカーが昔サラビに思いを寄せていたことがわかる場面がちらっとありますが、私は思わず「それだけで!?」と思ってしまいました。しかも、裏切り方が中途半端でしたし、最終的にはムファサを見捨てきれず助けたタカ。
物語の展開的に、タカが必死に誤ってムファサが許す、という展開があってもおかしくなさそうでした。タカを追い出さなかっただけ優しい、兄弟の絆がまだあると言われればそうかもしれませんが、この物語の展開はディズニーが謳っている「最も温かく切ない“兄弟の絆”」と言っても良いのか?と考えてしまいました。
総括
『ライオン・キング:ムファサ』は、ムファサとスカーの幼少期に何があったのか、今まで明かされてこなかった謎が解明される作品です。本当の兄弟ではない二匹がどのように絆を築いていったのか、そしてどうして決別することになったのか、前作では語られなかったスカーの葛藤も見ることができます。一方で、前作の持つ神話的な魅力を超えるかと言われれば少し疑問も残ります。ストーリーの既視感や強引さが私としては引っ掛かりました。
全体としては、子供はそのアニメーションの美しさや分かりやすいストーリー展開で本作を気にいると思います。特に、まだ『ライオン・キング』を見たことがない方であれば、『ライオン・キング:ムファサ』→『ライオン・キング』の順で見ると、ストーリーが綺麗に繋がりいいと思います。
総評:★★★⭐︎⭐︎
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