映画『正体』レビュー

正体 Movies

皆さんこんにちは!ロサンゼルス在住のNamiです。

本日は、今年の日本アカデミー賞に最多ノミネートされている、『正体』のレビューをしたいと思います。
見ていて思わず引き込まれてしまう展開と横浜流星の演技に注目です。

1. 概要

映画『正体』の監督は藤井道人、主演は横浜流星です。共演者には吉岡里帆、山田孝之といった演技派俳優に加え、森本慎太郎(SixTONES)、山田杏奈といった若手俳優が名を連ねています。本作は冒頭にお伝えした通り、第48回日本アカデミー賞にて12部門にノミネートされ、日本映画界で高い評価を受けています。

あらすじ
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。


2. 見どころ・魅力

本作の最大の魅力は、緻密なストーリー構成と登場人物たちの深い心理描写にあります。特に主人公・鏑木慶一の心情変化が巧みに描かれ、観客は彼の葛藤や苦悩をリアルに感じ取ることができます。

① 演技の素晴らしさ

主演の横浜流星が圧巻の演技を見せています!脱獄後、潜伏生活を続けるために変装をし、過去の自分とは異なる人物を3通り演じており、それぞれの演じ分けが素晴らしかったです。近年はシリアスや役柄が多いものの、まだまだ好青年系イメージが強いと私は思っていました。しかし、この映画で見せる表情や姿勢の一つ一つがとても繊細で、見窄らしい格好をしている彼も、好青年の格好をしている彼も、全て横浜流星なのですが、横浜流星じゃないという感じと、特に逃亡してすぐは彼が放つ「死刑囚」の雰囲気に背筋が凍るほどでした。また、「逃亡者」沈黙の中で滲み出る感情表現や緊迫したシーンでの圧倒的な存在感は圧巻です。そのほか、山田孝之の刑事姿も魅力的です。当防犯鏑木を追う刑事又貫を演じている彼ですが、表情で全てを物語るとはこのことか、と思うほどに、沈黙の中で見せる演技が素晴らしかったです。比較的淡々と話す中で、彼の苦悩や刑事としての正義感など表情で示しており、彼でなければここまでの深みというか重みというか、は出せなかったと思いました。

② ストーリーの巧みな展開

『正体』は、単なる逃亡劇ではなく、主人公の過去と現在が複雑に絡み合うことで物語に深みを与えています。最初はなぜ彼が逃げたのか、目的が何なのかが全くわからないところからスタートするのですが、フラッシュバックを効果的に用いることで、観客に徐々に真実を明かしていく構成は秀逸で、最後まで飽きることなく楽しめます。また、鏑木だけに焦点を当てるのではなく、彼に関わる人物のバックグラウンドも丁寧に描かれているので、なぜ彼らが鏑木と関わったのか、なぜ真相を突き止めようとしたのかなど伏線を回収できるとすごく面白いと思います。さらに社会問題や人間のアイデンティティに深く切り込んでいます。逃亡者として生きる主人公の視点を通して、社会の冷酷さや偏見、そして「正義」とは何かという問いが浮かび上がります。このようなテーマが巧みに織り込まれている点も、本作の魅力の一つです。

③ 映像美と演出

映像面でも非常に優れた作品であり、特に光と影の使い方が印象的です。暗闇の中で浮かび上がる表情や緊張感を高めるカメラワークが、サスペンス映画としての魅力を際立たせています。また、音楽の使い方も効果的で、静寂がもたらす緊迫感と時折挿入される劇伴が観客の感情を揺さぶります。さらに、美術や衣装にも細かいこだわりが感じられ、登場人物の内面をより際立たせる役割を果たしています。


気になった点

① ストーリーの複雑さ

唯一気になったのは、ストーリーの複雑さでした。先ほどお伝えした通り、本作は伏線やサブキャラのバックグラウントなど注意深く観ないと細かい部分を見落としてしまう可能性があります。特に、時間軸が交錯するため、観客によってはやや難解に感じるかもしれません。しかし、この点は作品の深みを増す要素とも言えます。

総評・おすすめ度

『正体』は、緊迫感のあるストーリーと深い人間ドラマが見事に融合した作品であり、日本アカデミー賞に多数ノミネートされるのも納得のクオリティです。特に、重厚なサスペンス作品が好きな方や、心理描写に重点を置いた映画を好む方には強くおすすめしたい一本です。本作は、単なるミステリーではなく、「人間の本質」や「自分とは何か」といった哲学的な問いを観客に投げかけます。観終わった後に、しばらく余韻に浸りたくなるような映画であり、間違いなく2024年を代表する作品の一つと言えるでしょう。

おすすめ度:★★★★★(5/5)

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